【大腸がんとは?】初期症状や原因、早期発見・予防のための検査について専門医が解説


最近、お腹の調子でこんなお悩みはありませんか?
便秘や下痢を繰り返したり、トイレットペーパーに血が付着しているのを見て、「もしかして大腸がんでは?」と不安を感じたことはありませんか?
大腸がんは、現在の日本において最も身近で、注意すべきがんの一つです。国立がん研究センターの最新の統計
によると、日本における大腸がんの年間罹患者数(新たにがんと診断される人数)は男女合計で15万人を超えており、全がんの中で第1位となっています。内訳を見ても、男性で第2位、女性で第2位と、非常に高い水準で推移しています。
さらに注意すべきは「死亡数」です。大腸がんによって亡くなる方は年間5万人以上に上り、がんによる死亡数では女性の第1位、男性の第2位を占めています。罹患者の総数・死亡数のどちらを見ても、大腸がんは誰にとっても身近であり、決して他人事とは言えない疾患であることが分かります。
「がんと聞くと怖い…」と不安になる方も多いかもしれません。しかし、大腸がんは早期に発見し、適切な治療を行えば、完治を目指せる可能性が十分にあるがんでもあります。
本ページでは、大腸がんの基本的な知識をはじめ、見逃してはいけない初期症状や発症のリスクとなる原因、そして早期発見に欠かせない「大腸カメラ(内視鏡)検査」について、消化器内視鏡専門医・大腸肛門病専門医の視点から分かりやすく解説いたします。大腸がんという病気について正しく理解していきましょう。

1. 大腸がん(結腸がん・直腸がん)とは?
大腸がんは、大腸(結腸・直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。大腸は約1.5〜2メートルほどの長さを持つ管状の臓器で、食べたものから水分を吸収し、便を形成する大切な役割を担っています。
大腸は部位ごとに名前がついており、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸にできるものを「結腸がん」、肛門に近い直腸にできるものを「直腸がん」と呼び、これらを総称して「大腸がん」といいます。
大腸がんは早期に発見できれば高い確率で治癒が期待できるだけでなく、前段階である「大腸ポリープ」のうちに切除してしまえば、がんそのものを「予防」できるケースが多いという非常に大きな特徴を持っています。
「症状が強くなってから」受診するのではなく、「気になることが少しでもあれば」早期に医療機関に相談し、適切な検査を受けることが極めて重要です。
2. 大腸がんはどのように発生する?

大腸がんの発生には、以下のようなルートが存在します。
① 大腸ポリープからがん化する(最も多いケース)
大腸がんの発生経路として最も多いのが、大腸粘膜にできた「ポリープ」が数年という長い時間をかけてがん化するルートです。
この前段階となるポリープには、主に以下の2つのタイプがあります。
腺腫(adenoma): 最も一般的な良性ポリープで、徐々にがん化していきます。
鋸歯状病変(SSL; sessile serrated lesion): 平べったく境界が分かりにくいポリープで、右側の腸(上行結腸など)に多く発生します。
これらは発生のメカニズムこそ異なりますが、最大のポイントは「どちらもポリープの段階で大腸カメラで見つけ出し、その場で切除してしまえば大腸がんを未然に防げる(予防できる)」という点です。
② 正常な粘膜から直接がんが発生する(de novoがん)
ポリープ(前がん病変)の段階を経由せず、正常な粘膜から突然がん細胞が発生するケースもあります。これは「de novo(デ・ノボ)がん」と呼ばれ、割合としては少なめです。しかし、ポリープのように表面に出っ張らず、小さいうちから腸の壁の深い部分へ入り込む(浸潤する)スピードが速い傾向があるため、定期的な大腸カメラによる「早期発見」が極めて重要になります。
③ 慢性的な炎症や遺伝的要因から発生する
潰瘍性大腸炎やクローン病といった「慢性的な腸の炎症」を背景に発生する大腸がんや、リンチ症候群などの「遺伝性疾患」に伴って発生するケースです。ご家族に大腸がんの方がいる場合や、腸の炎症を指摘されている方は、より慎重な定期フォローが必要です。
大腸がんは、進行すると大腸の壁を深く掘り進むように広がり、やがてリンパ節や肝臓、肺などの他の臓器へ転移(がん細胞が飛び火すること)を起こす危険性があります。
大部分の大腸がんはポリープの段階を経て発生するため、まだ良性のポリープの段階、あるいはがんが粘膜の表面にとどまっている「早期」の段階で見つけ出し、治療することが何よりも重要になります。
3. 痛みがなくても要注意!大腸がんの主な症状

大腸がんで最も注意しなければならない特徴は、「初期段階では自覚症状がほとんどない」ということです。がんが小さいうちは、痛みや排便への違和感を感じることはほぼありません。しかし、がんが進行して大きくなると、以下のような症状が現れ始めます。
血便・下血
便に赤い血が混じったり、トイレットペーパーに血が付いたりします
便通の異常
これまで快便だったのに急に便秘になったり、便秘と下痢を交互に繰り返したりするようになります
便が細くなる(便柱細小)
がんが大きくなり大腸の通り道(内腔)が狭くなることで、鉛筆のように細い便しか出なくなることがあります
残便感や腹部膨満感
トイレに行っても「まだ便が残っている感じがする(すっきりしない)」、お腹が張って苦しいといった症状が続きます
貧血や原因不明の体重減少
出血が続くことで、立ちくらみや息切れなどの貧血症状が現れたり、ダイエットをしていないのに体重が減ったりすることがあります
「まだ若いから」は禁物。20代・30代の若年性大腸がんも
大腸がんは40代以降からリスクが高まる傾向にありますが、近年は食生活の変化などを背景に、20代や30代で発症する「若年性大腸がん」も増加しています。
若い世代の方は、血便などの症状があっても「ただの痔だろう」「がんになる年齢ではない」と自己判断してしまい、受診が遅れるケースが多く見受けられます。大腸がんは決して中高年層だけの病気ではありません。年齢にかかわらず、お尻の出血や便通の異常が続く場合は、放置せずに早めに専門の医療機関をご受診ください。
若年性大腸がんについては【こちらのコラム】もご参照ください。
4. 大腸がんになりやすい人・危険因子

大腸がんは誰にでも起こる可能性がありますが、発症しやすい「危険因子(リスク因子)」を知ることで、検査を受ける適切なタイミングが見えてきます。
50歳以上の方
大腸がんは40歳頃から増え始め、50歳を過ぎると急激に増加します
ご家族に大腸がんの方がいる
親やご兄弟など第一度近親者に大腸がんの方がいる場合、遺伝的な体質が関係しリスクが高くなります
過去に大腸ポリープを切除した
一度ポリープができた方は新たなポリープができるリスクがあるため、定期的な経過観察(サーベイランス)が必要です
肥満・運動不足
肥満や運動不足は大腸がんリスクを高めます
食生活の乱れ
加工肉(ハムやソーセージなど)や赤身肉の過剰摂取、高脂肪食はリスクを高めます
喫煙・過度な飲酒
喫煙、アルコール(アセトアルデヒド)は発がんリスクを高めます
持病(糖尿病・潰瘍性大腸炎など)
血糖コントロールの不良や慢性的な腸の炎症は、大腸がんの発生に関与します
危険サイン(セルフチェックリスト)

以下の項目に当てはまる方は、大腸カメラをご検討ください
- 50歳以上で一度も大腸カメラを受けたことがない
- 便潜血検査で陽性(要精密検査)になったことがある
- トイレットペーパーに血がついた、血便が出たことがある
- 親・兄弟・子どもに大腸がんの方がいる
- 大腸ポリープを切除したことがある
- 喫煙している、または長期間喫煙していた
- 毎日お酒を飲む習慣がある
- 運動不足である、または肥満を指摘されている
5. 大腸がんを調べる「検査」の違い


大腸の検査にはいくつか種類がありますが、それぞれ得意・不得意があります。当院が最も重要視している検査とその理由を、他の検査と比較しながら分かりやすく解説します。
大腸カメラ(内視鏡検査)
他の検査と決定的に異なるのは、肛門から直接カメラを入れて粘膜を隅々まで観察し、「診断」と「治療」を同時に行える唯一の検査であるという点です。
数ミリの小さなポリープや早期がんを発見し、その場で切除することで、将来の大腸がんを未然に防ぐことができます。リスクがある方は、他の検査を挟まずに直接大腸カメラを受けることを強くおすすめします。
▶︎ [当院の無痛を目指す大腸カメラ(内視鏡)検査の詳細はこちら]
便潜血検査(検便)
自宅で手軽にできるスクリーニング検査です。しかし、「がんがあっても出血していなければ陰性になる(見逃し)」ことがあります。つまり、「便潜血が陰性でも、大腸がんがないことは証明できない」のです。便潜血検査と大腸カメラは役割が全く異なる点に注意が必要です。
CTコロノグラフィ(大腸CT)・カプセル内視鏡
大腸カメラがどうしても挿入困難な方の選択肢になりますが、最大の弱点は「組織の採取(生検)」や「ポリープの切除」ができないことです。異常が見つかれば、結局は大腸カメラによる処置が必要になります。
CT検査・腹部超音波(エコー)
進行がんの大きさや転移(肝臓や肺など)を調べるのには優れていますが、数ミリの小さなポリープや早期のがんを見つけるのは困難です。
6. 大腸がんのステージ(病期)と治療法

もし大腸がんが見つかった場合、がんの深さやリンパ節・他臓器への転移の有無によって「ステージ(病期)0〜IV」に分類され、適切な治療法が選択されます。
内視鏡治療(ステージ0〜一部のステージI)
がんが粘膜の表面にとどまっている早期段階です。お腹を切ることなく、大腸カメラ(内視鏡)を使ってがんを削り取ります。
外科手術(ステージI〜III)
がんが深く進行している場合に行われます。腹腔鏡手術やロボット支援手術、開腹手術により、がんを含む腸の一部と周囲のリンパ節を切除します。
化学療法(抗がん剤)・放射線治療
手術後の再発を防ぐための治療(術後補助化学療法)のほか、直腸がんに対して手術前に放射線と抗がん剤を組み合わせて腫瘍を小さくし、再発率を下げたり肛門を残せる可能性を高めたりする「術前化学放射線療法」を行うことがあります。また、肝臓や肺などに転移がある場合(ステージⅣ)でも、抗がん剤治療でがんを縮小させてから手術による切除を目指すアプローチ(コンバージョン手術)など、患者様の状況に応じた集約的治療が行われます。
7. 大腸がんを予防するためにできること

定期的に大腸カメラを受ける
がんになる前のポリープを切除することが最強の予防法です
適度な運動を心がける
ウォーキングなど、腸のぜん動運動を促す身体活動はリスクを下げます
食生活を見直す
加工肉や赤身肉の過食を控え、野菜・果物・全粒穀物など食物繊維をたっぷり摂りましょう
禁煙・節酒を心がける
禁煙はがん全般の予防に繋がり、飲酒は適量を守って休肝日を設けましょう
適正体重を維持する
肥満を防ぐことは、大腸がんだけでなく生活習慣病全体の予防になります
8. よくあるご質問(FAQ)

毎年、便潜血検査が「陰性」だから大腸カメラは不要ですよね?
いいえ、陰性=大腸がんがない、とは言い切れません。便潜血検査は出血していないポリープや早期がんを見逃すリスクがあります。40〜50歳を過ぎたら、便潜血の結果にかかわらず、一度は大腸カメラ(内視鏡)で直接腸の中を確認することをおすすめします。
大腸カメラは痛くて苦しいイメージがあり、踏み切れません。
過去に辛い思いをされた方は不安になりますよね。当院では患者様の苦痛を最小限にするため、細径スコープや、お腹の張りが早く引く炭酸ガスを使用、ご希望に応じてウトウトした状態で緊張をとる鎮静剤を用いた検査を行っています。詳細は、痛みを抑える内視鏡挿入の工夫をご覧ください。
9. ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックが提供する大腸がん診療

「健診で引っかかった」「血が出た」とご不安な方は、一人で悩まず当院へご相談ください。さいたま市武蔵浦和駅近くに位置する当院では、地域の皆様の「早期発見」から「術後フォロー」までをトータルでサポートしています。
1. 4Kモニター高画質による精度の高い検査
オリンパス社の最新内視鏡システム「EVIS-X1」と高画質モニターを使用し、微小な病変も見逃さない精密な検査を実現しています。
2. 高度医療機関へのスムーズな連携
検査の結果、進行がんで外科的手術などが必要と診断された場合は、連携する東京大学医学部附属病院やご希望の近隣の専門機関へ速やかにご紹介いたします。
3. 病院での治療後の「定期フォローアップ」
大腸がんの治療後は、再発を防ぐために定期的な内視鏡検査が欠かせません。「手術を受けた遠くの大病院に毎回通うのは負担が大きい」という患者様のために、当院では術後の内視鏡フォローアップや日常的なお腹のケアを承っております。通い慣れた地元のクリニックとして、患者様の生活に寄り添います。

当院はJR武蔵浦和駅からアクセスしやすく、土曜・日曜の内視鏡検査にも対応しております。さいたま市(南区、浦和区、大宮区など)をはじめ、戸田市、蕨市、川口市、朝霞市など広域から多くの患者様にご来院いただいております。皆さまが安心して検査を受けられるよう、スタッフ一同温かくサポートいたします。
▼[ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニック(武蔵浦和)の外来診察WEB予約はこちら]

【作成・監修】
ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニック 理事長 柴田淳一
【資格・所属学会】
東京大学大学院修了 医学博士
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医 など
【さいたま市南区|武蔵浦和】ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックの医師詳細プロフィールはこちら