
「暑くなってから食欲がない」
「少し食べただけで胃が重い」
「夏になってから胃の調子がなんとなく悪い」
厳しい暑さの続く時期や暑さのピークが過ぎて夏の疲れが出るころに、胃の調子がおかしいと当院へご相談にいらっしゃる方が多くなります。
暑さによる体力の消耗や脱水、睡眠不足、食生活の変化などで一時的に食欲が落ちることも多く、「夏バテだろう」と様子を見たくなる方も多いでしょう。
しかし、「夏バテ」は正式な病名ではないため、そこには「暑さによる一時的な疲れ」だけでなく、胃炎、胃潰瘍、ピロリ菌感染などが隠れていることがあります。
また、頻度は高くありませんが、胃がんでも胃もたれや食欲不振のような症状がみられることがあります。
まずはご自身の胃が現在どのような状態なのか、一緒に確認していきましょう。ここでは、消化器内視鏡専門医の視点から、「ただの夏バテ」と思い込まないための受診の目安やどのような疾患に注意が必要かについて詳しく解説していきます。
目次
1. こんな胃の症状は早めに受診を
夏の疲れや一時的な胃腸炎などであれば、無理をせず休むことで、通常は数日のうちに自然と改善に向かいます。もし不調が2週間前後長引いている場合、まずは内服のお薬で様子を見ることも一つの方法です。
しかし、「お薬を飲んでも症状が改善しない場合」や、「症状自体は軽くても、これまで一度も胃カメラ検査を受けたことがない場合」には、一度内視鏡検査で胃の中を直接確認しておくことをおすすめしています。
また、期間にかかわらず、次のような危険なサインが隠れている場合は「ただの夏バテ」と自己判断せず、専門医にご相談ください。
胃の不調・危険なサインのセルフチェック
□ 胃もたれ・胃痛・食欲不振がなかなか改善しない
□ 症状を何度も繰り返している
□ 意図せず体重が減ってきた
□ 黒い便(タール便)が出た
□ 吐血した
□ 嘔吐を繰り返している
□ 食べ物がつかえる、飲み込みにくい
□ 貧血を指摘された
特に、黒色便、吐血、強い胃痛、繰り返す嘔吐などがある場合には、期間にかかわらず早めの受診が必要です。
また、次のような条件に当てはまるかどうかも確認してみてください。
胃カメラ検査を検討すべき方のチェックリスト
- これまで胃カメラを受けたことがない
- ピロリ菌を調べたことがない
- ピロリ菌の感染・除菌歴がある
- 胃がんの家族歴がある
- 痛み止め(NSAIDs)などを継続して服用している
このような情報も、胃カメラの必要性を判断するうえで重要になります。
2. 「長引く夏バテ症状」に隠れているかもしれない胃の病気
ここから紹介する病気が「夏になると特別に増える」というわけではありません。
問題なのは、胃炎や胃潰瘍、胃がんなどの症状が夏バテと重なるため、「夏だから」と見過ごされる可能性があることです。
胃もたれが続く場合、まず症状を説明できる器質的な病気が隠れていないかを確認します。
1.胃炎・ピロリ菌感染
胃炎では、胃痛、胃もたれ、食欲低下、吐き気などがみられることがあります。慢性的な胃炎を考えるうえで特に重要なのが、ヘリコバクター・ピロリ菌です。
ピロリ菌は胃の粘膜に慢性的な炎症を起こし、胃・十二指腸潰瘍や胃がんと関連することが分かっています。ただし、「胃もたれがある=ピロリ菌がいる」というわけではありません。 感染していても症状がほとんどない方もいます。
これまで一度もピロリ菌について調べたことがない場合には、胃の症状をきっかけに感染の有無を確認しておくことも大切です。
【当院のピロリ菌検査についての詳細はこちら】
2.胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃潰瘍・十二指腸潰瘍では、みぞおちの痛み、胃の不快感、吐き気、食欲低下などがみられることがあります。
重要な原因として、ピロリ菌感染やNSAIDsと呼ばれる痛み止めなどがあります。潰瘍から出血すると、黒い便、吐血、貧血、めまいなどが起こることがあります。
特に真っ黒でベタッとした便が出た場合には、「食べ物のせいかな」と自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。
3.胃がん
「胃もたれが続くと胃がんなのでしょうか?」と心配される方もいます。結論からいうと、胃もたれの原因の多くが胃がんというわけではありません。
一方で、早期胃がんはほとんど自覚症状がないことも多く、症状があっても胃もたれ、胃痛、吐き気、食欲不振など、胃炎や胃潰瘍とよく似ています。つまり、症状だけで胃がんを否定することはできません。
国立がん研究センターのデータによれば、早期に発見された胃がんの5年相対生存率は90%以上と非常に高い治癒が見込めます。症状の経過だけでなく、年齢、ピロリ菌感染歴、胃がんの家族歴、過去の胃カメラ歴などを考慮し、必要に応じて胃カメラで直接確認することが重要です。
【早期発見が鍵となる胃がんについての詳細はこちら】
4.胃の病気を確認したうえで考える「機能性ディスペプシア(FD)」
胃もたれが続いていても、胃カメラで胃がんや胃潰瘍など、症状を説明できる明らかな病気が見つからないことがあります。このような場合に考える代表的な疾患が、機能性ディスペプシア(FD)です。
機能性ディスペプシアでは、胃カメラで明らかな異常がないにもかかわらず症状が続きます。つまり、胃カメラで異常が見つからないこと自体が重要な診断情報なのです。胃がんや潰瘍などを確認・除外したうえで、症状に合った治療へ進むことができます。
こちらのコラム【機能性ディスペプシアと胃がんの違いは?】もご参照ください
3. 夏の胃もたれ|ご自宅でできるケア

症状が軽く、徐々に改善している場合には、まず生活を整えてみましょう。
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水分はこまめに補給する
夏は脱水を防ぐことが重要です。冷たい飲み物を飲んだから胃炎になるわけではありません。一気に大量に飲んで胃の張りや不快感が出る方は、少量ずつ飲むようにしてください。 -
食事は無理をせず少量ずつ
胃の調子が悪いからといって、何日も絶食する必要はありません。一度に大量に食べず、脂肪分の多い食事や大量のアルコールを控え、食べられるものを少量ずつ摂りましょう。 -
市販薬を上手に使いつつ、長引かせない工夫を
市販の胃薬を短期間使用することで、一時的に症状を和らげるサポートとして役立つことがあります。ただし、「薬を飲んでいるときだけ楽になる」「何度も薬を買い直して繰り返している」というときは、専門の医療機関で診察や検査をうけるようにしましょう。
4. ただの夏バテとやり過ごさずに、胃カメラ検査をうけてみませんか
胃もたれくらいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、長引く場合には注意が必要です。
当院では、症状の経過、年齢、過去の胃カメラ(内視鏡検査)歴、ピロリ菌感染・除菌歴、服薬内容、体重減少や貧血の有無などを確認して検査の必要性を判断します。
そして、長引く、あるいは繰り返す胃もたれでは、胃カメラで器質的疾患の有無を確認することを積極的におすすめしています。
胃カメラで異常がなければ、安心につながり、それだけで症状の緩和につながることもありますし、目に見える異常がないということはそれも重要な判断材料です。そのうえで、他の検査の必要性を判断したり、機能性ディスペプシアなどを考え、治療を進めることにつなげることができるのです。
5. 鼻から「ラクチン」当院の胃カメラ検査

さいたま市・武蔵浦和にあるジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックでは、年間4,000件を超える胃カメラ検査を行っています。消化器内視鏡専門医・指導医である院長をはじめ、内視鏡検査のプロフェッショナルが、食道・胃・十二指腸を最先端の機器を使ってしっかりと観察します。
AIによる胃がん診断支援
検査中の画像をAIがリアルタイムに解析し、病変が疑われる部位を医師に提示します。AIが医師に代わって診断するのではなく、内視鏡医による観察とAI診断支援の「ダブルチェック」として活用しています。名誉理事長・多田智裕医師、理事長・柴田淳一医師は、胃がんAIに関する研究・臨床にも深く携わってきました。
細径経鼻内視鏡・鎮静剤にも対応
当院では約5.4mmの細径内視鏡を使用した鼻からの胃カメラに対応しています。また、ご希望や全身状態に応じて鎮静剤を使用し、嘔吐反射を抑えた状態で検査を受けることも可能です。土曜日・日曜日の内視鏡検査にも対応しています。
※鎮静剤を使用した当日は、車・自転車・バイクの運転はできません。年齢や持病などによっては平日の検査をご案内する場合があります。
【鼻から「ラクチン」当院の胃カメラ検査についての詳細はこちら】
6. よくあるご質問
Q.胃カメラで異常がなければ、胃もたれの原因は分からないのでしょうか?
A.胃がんや胃潰瘍などの器質的疾患がないことを確認したうえで、機能性ディスペプシアなどを考えて治療を行います。また、胃以外にも大腸の病気や胃腸以外の疾患の可能性も考慮して追加の検査を行うことがあります。
Q.冷たい飲み物は避けた方がよいですか?
A.胃もたれや胃の不快感があるときは、冷たい飲み物はできるだけ控え、常温~ぬるめのものを選ぶことをおすすめします。
冷たい飲み物そのものが胃炎や胃潰瘍の原因になるわけではありませんが、非常に冷たい水を摂ることで、一時的に胃の動きが変化することが報告されています。特に、一度に大量の冷たい飲み物を飲むと、胃の張りや胃もたれを感じる方もいます。
夏は脱水予防のため水分補給そのものは大切です。胃の調子が悪いときには、キンキンに冷えた飲み物を一気に飲むのではなく、常温~ぬるめの飲み物を少量ずつ、こまめに摂るようにしましょう。
7. 「夏バテ」と決めつけず、長引く胃もたれは一度原因を確認しましょう
夏は暑さや脱水、睡眠不足、食生活の変化などによって胃の不調を感じやすい季節です。しかし、長引く胃もたれや食欲不振の背景には、胃炎・ピロリ菌感染、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃がんなどが隠れていることがあります。
ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックでは、必要に応じて胃カメラやピロリ菌検査を行い、まず胃の病気が隠れていないかを確認することを大切にしています。
「夏バテだと思っていたけれど、胃の調子がなかなか戻らない」
「ただの夏バテの気がするけど、胃カメラを受けるべきか分からない」
というような方は、ぜひご相談ください。

▶︎ [さいたま市にお住まいの方は、市の胃がん検診制度をご利用いただけます。詳細はこちら]
「平日は仕事が休めない」という働き盛りの方のために、土曜・日曜の胃カメラ検査にも対応しております。
JR武蔵浦和駅から徒歩4分とアクセスしやすく、さいたま市(南区、浦和区、大宮区など)をはじめ、戸田市、蕨市、川口市、朝霞市、上尾市など広域からも多くの患者様にご来院いただいております。
不調をそのままにせず、ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックへご相談ください。スタッフ一同全力でサポートいたします。
▶︎ [広域からのご来院ルート・提携駐車場などのアクセス詳細はこちら]
参考文献・参考資料
- 日本消化器病学会:機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)
- 日本消化器病学会:消化性潰瘍診療ガイドライン2026 改訂第4版
- 日本ヘリコバクター学会:H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版
- 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がんについて」
※本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断に代わるものではありません。気になる症状がある場合には医療機関へご相談ください。
ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニック
理事長 柴田 淳一
東京大学大学院修了 医学博士
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
浦和医師会胃がん検診読影委員 など
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