ピロリ菌を除菌したら、もう胃がんにならない?|除菌後も胃カメラが必要な理由|さいたま市南区の胃腸科・肛門科|ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニック

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医療コラム COLUMN

ピロリ菌を除菌したら、もう胃がんにならない?|除菌後も胃カメラが必要な理由

更新日:2026年08月30日

武蔵浦和駅すぐのさいたま市南区にあるジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックの専門医が解説するピロリ菌除菌後の胃がんリスク
「ピロリ菌は除菌しました。胃がんは大丈夫ですよね?」

診察室で、このようなご質問をいただくことがあります。確かに、ピロリ菌を除菌すると胃がんになるリスクは低下します。

しかし、除菌したからといって胃がんが発生しなくなったわけではありません。

研究によって差はありますが、ピロリ菌除菌後の胃がん発生率は、一般的に年間約0.2〜0.5%程がひとつの目安です。(日本人を長期間追跡した研究では年間0.35%という報告があります。[1])
さらに、除菌から10年以上経過した後に胃がんが見つかることもあります。


実際に当院でも、他院でピロリ菌を除菌し、しばらく胃の検査をしていなかった方で10年以上経って久しぶりに胃カメラをしたところ胃がんが見つかった方がいらっしゃいました。

ご本人は、除菌したのに、なぜ突然胃がんになったの?と思われたかもしれません。

たしかに、ピロリ菌除菌は胃がん対策の一区切りです。しかし、ゴールではありません。

その後も定期的な胃カメラで胃の状態を見守っていくことが重要です。今回は、ピロリ菌除菌後にも胃がんが発生する理由、実際の発生率、そして除菌後に胃カメラを続ける意味について消化器内視鏡学会の専門医・指導医の立場から解説します。

1. ピロリ菌除菌後に残る胃がんリスク

1-1. ピロリ菌除菌による胃がん予防効果

ピロリ菌は胃がんの大きな原因のひとつです。長期間感染していると胃粘膜に慢性的な炎症が起こり、萎縮性胃炎や腸上皮化生などの変化につながります。


そのため、ピロリ菌が見つかった場合には、適切に除菌することが重要です。除菌によって胃がんになるリスクは低下します。

ただし、

「胃がんリスクが下がる」ことと、「胃がんリスクがゼロになる」ことは同じではありません。


1-2. 除菌しても胃が完全に元通りになるわけではありません

ピロリ菌を除菌すると胃粘膜の炎症は改善します。さらに長期的には、萎縮性胃炎についても改善することが知られています。

一方、長年の感染によって生じた腸上皮化生は、除菌後も残ることがあります。


実際、除菌後最長20年間の胃粘膜の変化を追跡した日本の研究でも、胃粘膜萎縮は長期的に改善した一方、腸上皮化生には明らかな改善が認められませんでした。[2]

つまり、ピロリ菌はいなくなっても、それまでに形成された胃がんになりやすい背景が残ることがあるということです。

1-3. 「除菌したから安心」とはいえない理由

除菌は胃がん予防のために非常に重要です。しかし、除菌だけですべてが終わるわけではありません。大切なのは、

ピロリ菌を除菌して胃がんリスクを下げ、その後は胃カメラで胃の状態を定期的に確認することです。

「ピロリ菌除菌+除菌後の定期的な胃カメラ検査」をセットで考えていく必要があります。

2. ピロリ菌除菌後の胃がん発生率

ピロリ菌除菌後の胃がん発生率は、研究対象によって差がありますが、一般的には年間約0.2〜0.5%程度がひとつの目安です。

日本人2,737人を対象とした長期追跡研究では年間0.35%という報告があります。[1]

一方、ピロリ菌に一度も感染したことがない日本人では、胃がん発生率は年間約0.014%と報告されています。[3]

研究対象が異なるため単純に比較はできませんが、除菌に成功しても、ピロリ菌未感染者と同じ程度まで胃がんリスクが下がるわけではありません。

2-1. 日本人の長期追跡では年間約0.35%

Takeらは、ピロリ菌除菌に成功した日本人2,737人を長期間追跡しました。平均7.1年間、最長21.4年間の追跡で68人に胃がんが発生し、胃がん発生率は、年間0.35%でした。[1]


年間0.35%というと小さな数字に感じるかもしれません。しかしこれは、1年間に1,000人あたり約3〜4人に胃がんが発生する割合です。しかも、このリスクは除菌直後だけではありません。

2-2. ピロリ菌未感染者との違い

では、もともとピロリ菌に一度も感染したことがない人ではどうでしょうか。2026年に発表された日本の解析では、胃がん発生率は、

1万人・年あたり1.40人=年間約0.014%

でした。[3]

一般的な除菌後では年間約0.2〜0.5%程度です。もちろん、それぞれ別の研究集団ですので、「除菌後は未感染者の○倍」と単純に比較することはできません。

それでも、

「除菌に成功したら、ピロリ菌に一度も感染していない人と同じになる」わけではない


ということは理解しておく必要があります。

3. 除菌から10年、20年以上後にもみられる胃がん

3-1. 除菌10年以上後にも続く胃がんリスク

「除菌して、その後何年間か胃カメラで異常がなかったから、もう大丈夫」と思われる方もいるかもしれません。しかし、除菌後の胃がんリスクは長期間残ります。

先ほど紹介した研究報告では、除菌から10年以上経過した後にも胃がんが発生していました。研究全体では最長21.4年間追跡されており、胃がんが発見されるまでの最長期間は18.3年でした。[1]

つまり、「除菌後、何年間か異常がなかった=今後も胃がんにならない」ではありません。

3-2. 除菌から20年以上経過後の胃がんも

さらに、除菌から20年以上経過してから胃がんが発生した報告もあります。

2024年には、十二指腸潰瘍に対するピロリ菌除菌から32年後に胃がんが発見された症例が日本から報告されています。[4]
もちろん、これは1例の症例報告であり、「32年間同じリスクが続く」と示した研究ではありません。

しかし、
「20年以上たてば、昔のピロリ菌感染はもう関係ない」とは言い切れないことを示す実例です。

3-3. 除菌によってリスクを下げ、胃カメラで早期発見

ここまで見てきたように、除菌によって胃がんリスクは低下しても、除菌するまでに生じた胃粘膜の変化が残り、その背景から胃がんが発生することがあることに注意が必要です。

除菌したのに胃がんになったからといって、除菌に意味がなかったわけではありません。除菌によってリスクを下げ、その後は胃カメラで早期発見を目指す。ここまでが大切なのです。

4. 除菌後も胃カメラを意識してほしい方

今回、特に強調したいのは、すでに胃がんの治療を受けて定期検査を続けている方というより、


「昔ピロリ菌を除菌したから、自分はもう大丈夫」
と思っている方です。

4-1. 「胃潰瘍で治療したことがある」という方

「若い頃に胃潰瘍になって、治療しました。それ以来、特に症状もないので胃カメラは受けていません」

このような方は、一度胃カメラを検討していただきたい方のひとりです。

2025年に日本の医療データベースを解析した研究では、ピロリ菌除菌後の胃がん累積発生率は中央値3.8年の追跡で、

胃潰瘍:0.54%
ピロリ菌関連胃炎:0.44%
十二指腸潰瘍:0.22%

でした。[5]

胃潰瘍の既往のある人は十二指腸潰瘍の既往のある人より、除菌後の胃がんリスクが高いことも示されています。

これは、胃潰瘍そのものが胃がんに変化するという意味ではありません。胃潰瘍の患者さんでは、背景にピロリ菌による胃粘膜萎縮などの変化が進んでいることがあり、それがその後の胃がんリスクと関係していると考えられます。

つまり、「胃潰瘍が治った」ことと、「将来の胃がんリスクがなくなった」ことは同じではありません。

4-2. 胃カメラを受けたときに、萎縮性胃炎・腸上皮化生を指摘された方

以前の胃カメラで、

「萎縮性胃炎があります」
「胃の粘膜が薄くなっています」
「腸上皮化生があります」

と言われたことがある方も注意が必要です。

ピロリ菌を除菌すると胃粘膜の炎症や萎縮は改善していきますが、すべての変化がなくなるわけではありません。特に腸上皮化生は、除菌後も残ることがあります。

過去の胃カメラで萎縮性胃炎や腸上皮化生を指摘されたことがある方は、除菌後も定期的な胃カメラが大切です。

4-3. 除菌してから何年も胃カメラを受けていない方

今回、最も胃カメラをおすすめしたいのは、

「除菌したのは覚えているけれど、最後に胃カメラを受けたのがいつだったか覚えていない」という方です。

除菌後胃がんは、除菌から数年以内だけに起こるものではありません。10年以上経過してからも発生し、20年以上経過した症例も報告されています。症状がなくても、

「昔ピロリ菌を除菌した」という事実そのものを、今後の胃カメラを考えるための重要な情報として覚えておいてください。

5. ピロリ菌除菌後の胃カメラの頻度

5-1. 症状がなくても胃カメラが大切な理由

「胃が痛くない」
「食欲もある」
「胃もたれもない」

からといって、胃がんがないとは限りません。

早期胃がんでは、自覚症状がないことも珍しくありません。

症状が出てから胃カメラを受けるのではなく、症状のない段階から胃を定期的に確認することが、胃がんの早期発見につながります。

5-2. 胃カメラの間隔は全員一律ではありません

では、除菌後はどのくらいの頻度で胃カメラを受ければよいのでしょうか。適切な間隔は、

  • 年齢

  • 胃粘膜萎縮の程度

  • 腸上皮化生の有無・程度

  • これまでの胃カメラの所見

  • 胃がんの家族歴

などによって異なります。ただし、「ピロリ菌を除菌したから、その後の胃カメラは必要ない」という考え方はおすすめできません。

5-3. 萎縮性胃炎の方は年1回の胃カメラを

当院では、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎が認められる方については、基本的に年1回程度の胃カメラをおすすめしています。

特に、

  • 昔、胃潰瘍でピロリ菌を除菌した

  • 萎縮性胃炎を指摘されたことがある

  • 腸上皮化生を指摘されたことがある

  • 除菌後、何年も胃カメラを受けていない

  • 最後に胃カメラを受けた時期を覚えていない

という方は、一度胃カメラについて考えてみてください。何年か続けて異常がなかったから「胃カメラ卒業」というわけではありません。

6. 除菌後胃がんの早期発見と当院の胃カメラ

6-1. 胃がんは「できないようにする」だけでなく「早く見つける」

ピロリ菌除菌には、胃がんになるリスクを下げる効果があります。それでも、胃がんを完全にゼロにはできません。


そこで次に大切になるのが、「もし胃がんができても、早期に見つける」という考え方です。

胃がんは早期に発見できれば、病変によっては外科手術ではなく、内視鏡治療で治療できる可能性があります。だからこそ、症状がなくても定期的な胃カメラを続ける意味があります。

6-2. 消化器内視鏡医+胃がん診断支援AI

当院では胃カメラ検査の際、内視鏡医による観察に加えて、胃がん診断支援AI「gastroAI™ model-G」を併用しています。

がんが疑われる部分をAIがリアルタイムに提示し、医師による観察をサポートするシステムです。最終的な判断は医師が行います。

消化器内視鏡学会の専門医・指導医である院長をはじめとした消化器疾患に精通した内視鏡医による観察 + 胃がん診断支援AIという形で、胃がんの早期発見を目指しています。

▶︎ 当院が導入している最新のAI内視鏡検査についてはこちら


6-3. ピロリ菌除菌後に覚えておきたい3つのこと

最後に、この記事でお伝えしたいことは3つです。

① ピロリ菌を除菌しても胃がんリスクはゼロにはなりません。

一般的な除菌後胃がんの発生率は年間約0.2〜0.5%程度が目安で、日本人を対象とした長期追跡研究では年間0.35%でした。


② 除菌から10年、20年以上たって胃がんが見つかることがあります。

「何年か胃カメラで異常がなかったから、もう大丈夫」とは言い切れません。


③ 症状がなくても、定期的な胃カメラが大切です。

特に、過去に胃潰瘍で除菌した方、萎縮性胃炎や腸上皮化生を指摘されたことのある方、除菌してから長期間胃カメラを受けていない方は、一度検査について考えてみてください。

「ピロリ菌を除菌したから胃カメラは卒業」ではなく、「除菌したからこそ、その後も胃を定期的に確認する」。

これが、除菌後胃がんを早期に発見するための大切なポイントです。


「ピロリ菌を除菌してから、もう何年も胃カメラを受けていない」

「昔、胃潰瘍や萎縮性胃炎を指摘されたことがある」

「自分はどのくらいの頻度で胃カメラを受ければよいかわからない」

という方は、ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニックまでお気軽にご相談ください。

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JR武蔵浦和駅から徒歩4分とアクセスしやすく、さいたま市(南区、浦和区、大宮区など)をはじめ、戸田市、蕨市、川口市、朝霞市、上尾市など広域からも多くの患者様にご来院いただいております。

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※本コラムは一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断に代わるものではありません。気になる症状がある場合には医療機関へご相談ください。

参考文献

  1. Take S, Mizuno M, Ishiki K, et al. Risk of gastric cancer in the second decade of follow-up after Helicobacter pylori eradication. J Gastroenterol. 2020;55(3):281-288. 

  2. Iwata E, Sugimoto M, Akimoto Y, et al. Long-term endoscopic gastric mucosal changes up to 20 years after Helicobacter pylori eradication therapy. Sci Rep. 2024;14:13003.

  3. Ichita C, Kusano C, Gotoda T, et al. Prevalence and Incidence of Gastric Cancer Among Helicobacter pylori-Naïve Individuals in Japan: A Systematic Review and Meta-Analysis. J Gastroenterol Hepatol. 2026;41(2):454-464.

  4. Suto D, Sato K, Yoshida M, et al. Gastric carcinoma of the fundic gland type developed 32 years after Helicobacter pylori eradication for duodenal ulcer: a case report. Ann Med Surg (Lond). 2024;86(7):4227-4230.

  5. Sugano K, Suzuki C, Ota M, Iwakiri R. Gastric cancer risk after Helicobacter pylori eradication in gastritis and peptic ulcer: a retrospective cohort study in Japan. BMC Gastroenterol. 2025;25(1):463.

【作成・監修】

ジェイズ胃腸内視鏡・肛門クリニック
理事長 柴田 淳一

【資格・所属学会】

東京大学大学院修了 医学博士
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本大腸肛門病学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医
日本消化器外科学会専門医
消化器がん外科治療認定医
浦和医師会胃がん検診読影委員 など

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